女流棋士 北乃真央
女流棋士ものを書いてみました、2話の後半まで書いてるんですが2話目を書き始めた途端に邪魔をされてですね、その後めげずに書いたのですが、邪魔されなかったらどんな話になってただろうと考えてしまいますね、めげずに書いた物がいまいちの出来なので尚更です、一話目は邪魔されませんでした、そこで一話目をブログで載せたいと思います。
果たして邪魔されずに書いた話はほんとに良い物なのか、或いは邪魔されなくてもショボい話なのかを試すためです、まあ、ブログではアクセス数で良いかどうかを判断するしか無いですけどね、ノクターンノベルズみたいにブックマークとか無いわけですから、ということで長々と話しましたが次の新作にするかも知れない作品です。
女流棋士 北乃真央
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パチン、パチン__
将棋の駒の音がする、北乃真央きたの まおが将棋盤の横腹に駒を打ちつけているのだ。
「北乃さん、駒台に戻してくれますか」
相手に注意される、取った駒は駒台に乗せなければならないのだ、手に持ったまま、しかも将棋盤の横腹に叩き付けるなどは礼儀知らずなのだ。
真央はポイッと駒台に戻す、駒台の駒は乱れているがお構いなしだ。
北乃真央20才、栗色の髪でショートカット、目は爛々として鼻は少し上を向く可愛らしい女性、体はスレンダーだ。
局面は中盤の難所を迎えていた、戦型は居飛車急戦対四間飛車だ、先に真央が定席を外した、少し悪い。
将棋の戦法は大きく別けて2つに別れる、居飛車と振り飛車だ、居飛車とは最初の位置で飛車を使う、振り飛車とは飛車を横に振って使う、真央は居飛車党だ。
真央はこのままだとジリ貧だと判断して勝負手を放つ、パッチーンと駒音高く打ちつける。
そこから攻めに攻めたがやがて攻めが細くなり……
お茶を飲んで喉を潤してから
「負けました」
頭を下げた。
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華やかで艶やかな女流棋士の世界、しかし見た目とは裏腹に対局だけで食べていくのは難しい、一部のタイトルホルダー以外は聞き手や時計係、その他のバイトをしながら生計を立てていた。
真央も例外ではなく聞き手などのバイトをしている、真央は美人なので重宝されるのだ。
真央は女流棋士界で一ニを争う人気だ、その人気もあってHHKのテレビ番組、将棋対局の司会をしている。
「皆様こんにちは、日曜のお昼いかがお過ごしでしょうか北乃真央です、本日も将棋対局をお楽しみ下さい」
番組の冒頭、大盤の前での挨拶だ、対局の時とは違いお淑やかで礼儀正しい。
「今日はシード枠の大竹名人と女流枠を勝ち抜いて本戦出場を決めました早乙女理絵子さおとめ りえこ女流名人との1戦です」
「解説は鈴木八段です、鈴木八段宜しくお願いします」
「お願いします」
「両対局者に今日の抱負を聞いています」
対局者に事前に聞いていたVTRが流れる。
先ずは女流名人の早乙女理絵子からだ
「大竹名人と対局できて光栄です、恥ずかしい将棋にならないように頑張ります」
理絵子は背中まで伸びる黒いロングヘアで目鼻立ちがハッキリとしていて鼻が高く鼻孔も大きい美人、スタイルも良くグラマラスだ。
続いて大竹名人の番だ。
「早乙女さんと対局するのは初めてですがとにかくいつも通りの将棋を指したいと思います」
「ええ、名人対名人と言う事で楽しみですね、戦型はどう予想しますか?」
真央はにっこりとして鈴木に振る。
「ええ、楽しみですね、戦型は両者とも居飛車党ですから相居飛車になると思います」
「それでは対局室のо×さん宜しくお願いします」
「はい、振り駒の結果、大竹名人が先手になりました」
棋譜係が告げて時計係がボタンを押す。
「宜しくお願いします」
お互いに礼をして対局が始まった。
戦型は先手の大竹が矢倉、後手の早乙女が雁木。
「最近、雁木が流行っていますね」
「コンピューターの影響ですね、コンピューターが雁木を使って勝つのでプロでも雁木が見直されています」
中盤の難所にさしかかる、早乙女は手をすぼめておでこに突き刺すような格好を取っている、漫画のジョジョに出てくるキャラクターのようだ。
「独特の構えで考えてますが……」
「ははっ、そうですねぇ、ま、中盤の考え処ですからね」
そしてパッチーンと指をしならせて敵陣に金を放つ。
「えっ!? かなり相手玉から離れたところに打ちましたね」
「うーん……この手の意味は……うーん……」
ソッポを向いた金、遊び駒になると思われた金であるが終盤になって存在感を増してくる。
「いやぁ驚きましたね、まさかこの金が働くとは、まさか読んでたんでしょうかねぇ」
解説の鈴木も驚いていた、隣の真央も指で鼻を豚鼻にして驚いている、そしてとうとう早乙女が大竹名人に勝ってしまった、将棋界に取って大事件である。
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女流のタイトルは早乙女が独占していた、強さと美貌とでメディアも取り上げる、テレビ番組にも多く出るようになる、写真集の依頼やいかがわしいビデオ撮影の依頼なども来る、写真集とビデオ撮影は断っていた。
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いつまでも早乙女時代が続くと思われたがそうでは無かった、最近早乙女の調子が悪いのだ、以前のようなキレがない、絶対的な終盤力も影を潜めていた、タイトルも2つ失った。
真央が自身の対局が終わって廊下に出ると早乙女の後ろ姿があった。
「早乙女名人」
近づきながら呼びかける。
「ああ、北乃さんどうも」
タイトル戦は残念でしたねとかは聞けないが何か話そうと思って近づいた真央であるが少し固まる、以前とは雰囲気が違う、少し前までは薄化粧でお淑やかな雰囲気だったのが今はかなり化粧が濃くなっている、口紅も鮮やかな真紅だ。
これはこれで美しいのだが、どこか男に媚びていると真央は思った。
真央と同じく対局が終わった直後のようだ、何やら額から汗をかいている。
「名人、具合でも悪いんですか?」
「ありがとう大丈夫よ」
そう言って早乙女は去って行った。
(体調悪そうね、心配だわ)
早乙女が対局していた部屋から親子連れが出てくる、お父さんと小学校か中学生くらいの男の子だ、恐らく個人スポンサーではないかと思われた。個人スポンサーとは1口1万円でスポンサーになる者の事だ、スポンサーになれば贔屓にしている女流の対局を生で見られたりサインをもらえたり一緒に写真を撮ったりと色々と得点があるのだ。
「北乃先生ですね、サインお願いしても良いですか」
お父さんからサインをねだられる。
「早乙女名人から私に乗り換えて下さいますか? なんて、ははっ」
茶目っ気たっぷりにアピールする、すると突然息子のガキンチョが北乃のお尻を触る。
「えっ!?」
一瞬の事なのでお父さんは気付いていない、ガキンチョはと言うと何食わぬ顔で鼻をほじっていた。お父さんにチクってやろうとも思ったのだが子供のする事だと思い見逃してやった。
気を取り直してサインの続きを書いて渡す。
「ありがとうございます、お誘いは嬉しいのですが早乙女先生のファンでして、息子も先生の教室に通っているんですよ」
本気で誘っていませんよ、それよりその頭の悪そうなガキンチョが名人の将棋教室に通っているなんてお金と時間の無駄ですねと思ったが勿論言わない。
「それは残念です、それと息子さんはプロを目指しているのですか?」
「はい、先生も筋が良いと言ってくれています」
チッ、と思った。
「それは楽しみですね、将来の名人だね僕」
ガキンチョの頭を撫でて髪型を乱してやる。
そうこうしている内に早乙女が戻ってくる、てっきり帰ったと思っていた真央は少し驚く。
「先生ウンコいっぱい出た?」
ガキンチョを蹴飛ばしてやろうかと思った。
「先生すみません、おいおい失礼だぞ」
真央を残して3人が帰って行った。
「ろくな大人にならないわね、あのクソガキ」
プンプン怒りながら真央も帰って行った。
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邪魔されずに書いた話しです、ああ、評価が高くても低くても邪魔されずに書きたい、柴漬け食べたい。